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裁判員たちの声


裁判員が話し合っているイラスト

2009年、裁判員裁判が始まった最初の年の、裁判員候補者になりました。

私は長年、NPO・市民活動・ボランティア活動の支援に携わってきた立場から、

市民と行政、市民と企業など、異なる立場の人たちの協働を考えてきました。

協働を進めるために条例や指針を作ったり、具体的な施策を進めたりする中で、

理念を共有しながら進めていくことの大切さや、

調整しつつ、試行錯誤する現場の難しさも実感していました。

そんな中、私に届いた「あなたは裁判員候補者になりました」という通知には、

裁判員裁判は、裁判官と市民(裁判員)の協働です、と説明されていました。

司法においても、市民参加と協働が始まった。

この新しい取り組みが成功するためには、他分野もそうであったように、

裁判官も、市民も、共に対話し、努力を続ける必要があると思いました。

そんな思いから、これまで、

裁判員を務めた人の話を聞き、その声を共有し、

裁判について考える作業を続けています。

これまでお聞かせいただいた裁判員の感想や経験談は、

大阪ボランティア協会の事業報告ブログで 「”裁判員ACT”裁判への市民参加を進める会」の活動として公開していますので、

リンクをご案内します。

①Aさん(30代女性 派遣職員)  暴行によって被害者が亡くなった事件で11日間の裁判に参加

 「判決文にも、裁判員の意見が盛り込まれました」

②裁判員交流会  「刑を終えて社会に戻ったらどんな人生になるのか、被告人の更生を考えぬいて結論を出した」

③裁判員交流会

 「裁判後の記者会見で「精神的な苦痛はなかったか」と聞かれ、私は「ありません」と答えました。しかし、今もし被告人と会ったとして、私たちが出した懲役8年6月の意味を説明する自信はありません。負担というか、うまく言い表せない、終わった時には感じなかった気持ちを持ち続けています。死刑判決に関わった人などは想像がつかないほど大変だろうと思います。」

④Bさん(70代男性)、8日間の裁判に参加

「市民が裁判に参加し、裁判がオープンになるのはいいことだと思う」

⑤Cさん(40代女性)

 フランス人の被告人が覚醒剤を持ち込んだ事件を担当。

「懲役はなぜ年単位なのか、裁判長に質問したが明確な答は聞けなかった。 判例から3.1キログラムは多いらしいとわかったが、納得できる基準を持たない中で 出した結論が正しいのかどうか、答が出ない」

⑥Dさん(30代男性)

 強姦未遂、窃盗事件を担当

 「過去の判例を参考にしながら1つ1つの事件をどう考えるかを話し合いました。 『許せない』と厳しい意見を述べていた人の方が同情的な意見の人より軽い量刑を主張するなど、 『同じ懲役1年といっても、1年の尺が人によって違う」ことに驚きました。

 これがばらついていると、話し合いは難しいと感じました。」

⑦裁判員交流会

 通訳のニュアンスからは被告人の気持ちがわかりにくかったし、

 証人は1人だけで、携帯の通話記録やティーバッグに偽装した覚醒剤など証拠も少なく  「証拠はたったこれだけ?」という印象。

 それをどう考えるのか、有罪か無罪かについての話し合いに長い時間をかけた。

⑧模擬裁判の感想

 大阪弁護士会が実施した模擬裁判で裁判員役を務めた6人の感想。

 模擬とはいえ、裁判官や検察官、弁護士が参加した実際の進行に近い裁判員裁判。

 評議の流れも参考になりました。

⑨甲南大学公開シンポジウム

2014年12月23日に開催された甲南大学の公開シンポジウムには、3人の裁判員経験者が登壇。

感想や意見を述べています。

「知らない世界を知った。先入観がいろいろあって被告人は悪い人だと思っていたが、

裁判で被告人を目の前にして、自分と変わらない人で、

誰にでも当事者になる可能性はあると考えるようになった。 他の事件についても興味を持つようになり、被害者家族の会や袴田事件の講演会に参加した…」

川畑もパネリストの一人として参加しました。

⑩Eさん(50代、男性・自営業)

 強姦致傷事件を担当。

 「控訴したかどうかその後の結果を知らせてほしいかと聞かれたので希望した。

  控訴はされず確定したことがわかった。

  判決文がほしいかも聞かれたが希望しなかった。」

⑪Fさん(40代女性・裁判当時は無職)

「はじめのうちは、評議で間違ったことを言うのは格好悪いから嫌だなあと思っていましたが、 途中からは、なんでも思った通り発言していいし、意見が変わってもいいのだとわかって気持 ちが楽になりました。」

⑫Gさん(60代女性・無職)

 放火事件を担当。

 「評議全体の印象としては、いろいろな意見が出てきてとても興味深いと感じました。

  基本的に裁判長が話を進めていたのですが、

  1人ずつ裁判員に意見を聞ていくというよりも、

  初めの段階から裁判員の自発的な意見交換は少しずつ行われていました。

 補充裁判員も含めて、あまり発言が少ない人もおらず、

 議論は徐々に徐々に活発になっていきました。」

⑬公開学習会

 公開プログラムに参加した2人の裁判員経験者のコメントが紹介されています。

⑭Hさん(50代男性・会社員)

 ホームレス生活をしていた被告人がパンを盗んでケガをさせた事件を担当。

「本人も認めている事件なのに、裁判に3日間もかかるのか?どうしてそん なに時間がかかるのだろう」と思っていましたが、細かく検証しながら1つ 1つの手続を進めていくと長すぎるというものではないことがわかり、目か らウロコが落ちたような気持ちです。人の人生を決めるものですから、それ くらいの時間はかかる(かけなければいけない)ものなのだと思います。」

⑮Iさん(30代女性・会社員)

 強盗殺人事件を担当。

ーーメディアの取材を受けたり、シンポジウムなどに登壇したり、裁判員の経験を 積極的に話しておられるのは、どのような気持ちからですか? 「裁判員を務めたと話した時の周囲の反応が、怖いといった否定的なものが多 かったので、それを払拭したかった。とりあえず行ってみようというふうになって ほしい。」

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